泣き虫の恋


あれから8年。
長かったのか短かったのか、分からないが優衣はやっと幸せを笑顔を取り戻した。

優衣の隣にいるのはカレではない彼。
カレとは似ても似つかない人だが、時折みせる不器用な優しさがカレと少し似ている。

彼と優衣の左手薬指には、お揃いの指輪。
カレが最後にくれた、最初で最後のプレゼントをつけている。



優衣はいま着たばかりのウェディングドレス姿の自分を鏡でみて、嬉しく感じていた。
そして、指輪を見る。

「ねえ、私、結婚するんだよ。」

優しいカオで、ちょっと懐かしく思いながら一人呟く。

「彼、あなたと同じでちょっと不器用だけど優しいの。私、幸せよ。」

カレを失って8年、抜け殻となった優衣を助け、愛してくれた彼と結婚する。兄も両親も彼の家族も、カレの両親も祝福してくれた。
私、幸せだ。




「これからも見守ってね大好きなあなた」

そう呟き優衣は、新しい家族を築く道へと踏み出した。
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