危険な彼女
昼食を済ませ、奈津は屋上に向かった。




どうして屋上に向かったのか、と言うと…



どうあっても空腹感は満たされない。


ならば、足りない分は寝てごまかそうという馬鹿な考えを奈津は思いついたのである。




ガチャ



屋上のドアを開け、まずは人がいないことを確認した。



寝顔なんて見られたらたまったもんじゃない。



馬鹿だけど、奈津はそれなりの羞恥心は持ち合わせているらしい。




懸命な調査の結果、誰もいないということが分かった。



安心した奈津は軽くコンクリートの上の砂やほこりを払い、そのまま寝そべった。




「ふぅ………

極楽極楽………」



そんなことをつぶやきながら奈津は目を閉じた。


温かい気温と、涼しい風が奈津を深い眠りへと………





…お決まりのごとく、いざなってはくれなかった。



突然、誰かに腹部を蹴られたのである。



その痛みに奈津は腹をよじった。



「うがぁー!!!


誰だ!!
人の睡眠、邪魔しやがって!!」




奈津は、腹部を押さえながら顔を上げた。



そして、怒り顔が一瞬にして凍りつく。




「あぁ、なるほど…

しつけがなってなかったみたいね」




不適な笑みを浮かべる女王様が立っていた。
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