危険な彼女
こうして美冬はさっき来た道を逆戻りしていた。




「今日はどういった理由で職員室に?」



「あ、今日はねぇ…

事前に確認しときたいことがあったから、それをちょっと…ね♪」



「確認しときたいこと?」



「あ、紹介が遅れたわね。

私は柳彩芽(ヤナギ アヤメ)。
非常勤講師として、明日からここで働くことになってるの」




ニコッと微笑む彩芽。



見るものを虜にしそうな大人の笑みだった。




「非常勤………?」



「保健室の山口先生がね、明日から産休に入るの。

それで、産休の間だけ…ね♪」




どうやら彼女のくせは『…ね♪』らしい。



何をそんなに強調したいのかよくわからないが、魅力的なのはたしかだと美冬は思っていた。
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