危険な彼女
「…で、何の用だよ?」




奈津は不機嫌そうに聞いた。



それもそのはず。



今、奈津が空腹なのは八割方、桜が原因と言っても過言ではないからだ。




「あ、今日の放課後空いてる?」



「え………?」



「行きたいところがあるんだけど………」




奈津はしばらくその言葉の意味を考えてみた。



今日の放課後空いてる?=私に付き合え下僕。



行きたいところがあるんだけど=私の馬になれ下僕。





………なんと恐ろしい。



「あ、用事があった!!!」



「却下」



「きゃ、却下ってお前…」


「あんたに拒否権なんてないはずよ?」




そう言って、桜はさりげなーく携帯をぶらぶらさせながら、屋上から出ていった。



そして、一人屋上に残された奈津は固まったまま動けずにいた。




「……………い、


嫌だあぁぁーーー!!!!!」




固まった奈津が言えた言葉はそれだけだったとか。
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