危険な彼女
そんな奈津を見て、呆れたのか、哀れんだのか、彩芽はため息をつきながら口を開いた。




「亜紀ちゃんのこと、かわいい、とか思ったことないの?」



「………ない、と言ったら嘘になるけどよ…」



「煮え切らない男ね…

我が弟ながら情けないわ…」




頭に手を当て、哀れみの視線を奈津に送る。



そんな視線をはねのけるようにして、奈津は彩芽を睨んだ。




「そんなこと言ったって…

亜紀はずっと幼なじみだったんだ。


それをいきなり女の子として見ろだなんて………」



「………ふぅ。

奈津、いいこと教えてあげる。


胸に手を当ててみなさい?」




そう言われ、奈津は言われるがままに胸に手を当ててみた。
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