危険な彼女
両足は氷の入った水につかり、右手にはうちわ、左手にはアイス。



格好は白のワンピースで、いかにも涼しげなイメージ。





そして、とどめに………




「何で俺の扇風機が、姉ちゃんの部屋にあんだよ!!?」




奈津は彩芽の真正面にある、青い扇風機を指差しながら叫んだ。




「あら?
いつ、誰が、どういった権利でこの扇風機を奈津のものにしたの?」




「………ぐ」





彩芽お得意の話術である。



昔から奈津は、彩芽に口喧嘩……もとい、喧嘩(暴力あり)で勝ったことがなかった。



そして、今回もすでに敗色濃厚である。




「だ、だって…
前からそれは俺の部屋に………」



「今は私の部屋にある、違う?

それに、これは柳家のものじゃないかしら?」



「いや…でも………」



「奈津、年功序列って知ってる?

人生の先輩に、ものを譲るのは当然のことでしょう?」



「う………」




これがボクシングなら、セコンドは間違いなくタオルを投げているだろう。



………とゆうか、奈津はすでに負けていた。
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