危険な彼女
「亜紀って昔っからそそっかしいんだよなぁ…


…でも、あれで料理も勉強もできるから不思議なんだよなぁ…」




奈津は口元をニヤニヤとさせ、楽しそうに写真を眺めた。



まるで我が子の成長アルバムを眺める親のようである。





「………亜紀…か」





さっきまでのニヤニヤした表情から一転、奈津はため息をついた。



そして、保健室での彩芽との一件を思い出していた。





「亜紀を女の子として………ね」





奈津は複雑な心境だった。




自分では自覚していなかったものの、彩芽に諭されて気づいた感情。



亜紀を『幼なじみの女の子』としてじゃなく『一人の女の子』として見ていた自分。




しかし、亜紀が好きなのか、と自分にたずねると、本当にそうなのだろうか、と疑う自分がいる。



この不思議な感情は恋?、友情の範疇?




………いくら考えても、恋愛経験はおろか、恋すらしたことがない奈津にはわかりそうになかった。
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