危険な彼女
「桜ちゃんのクラス、文化祭で喫茶店やるんですって。

だから、お菓子づくりの勉強しに私のところに…ね♪」




桜ちゃん。



その言葉から何となく親睦が深いことを理解した。



いつの間に…、とすらつぶやく時間を与えさせてくれない。



彩芽は妹ができたかのようにきゃっきゃっと嬉しそうに桜の肩に手を置き、
(彩芽の方がほんの少しばかり身長が高い)



桜は桜で、頬を染めながら、照れ隠しのように彩芽へ離れるよう抗議している。




もはや自分の存在は忘れられているような気がし、奈津は疲れたようにため息をついた。




「………ん?」




ため息をつき、桜が髪を後ろでまとめているのに気づいたとき、もっと重大なことに気づいた。




――喫茶店………?





かぶった。




口には出さなかったが、妙な焦りを奈津は感じていた。
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