危険な彼女
〜桜side〜




「ふっふふ〜ん♪」




桜は隣で果物を切る、やけに上機嫌な彩芽の姿を不思議そうに眺めた。




「ん?

どーしたの、桜ちゃん?」



「あ、その…

機嫌いいなぁって…」



「そりゃそーよ♪

他人の色恋沙汰ほど楽しいものはないもの」




当然、とばかりに彩芽はニコッと微笑んだ。



その言葉に、桜は首を傾げた。




「他人の色恋沙汰…?」



「決まってるじゃない♪

当事者は桜ちゃんよ?」



「………?」




そう言われても、何のことだか分からない。



今、自分たちがしているのはお菓子づくりであって、恋バナではない。



それ以前にそういう単語が出た覚えもない。
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