危険な彼女
「桜ちゃん」




彩芽は母親のような、真摯な眼差しで桜に話しかけた。




「人を好きになるってゆうことは決して恥ずかしいことではないのよ?

むしろ、それは誇ってもいいことだわ。

恥ずかしいのは、その気持ちを無理に押し殺すことなの」




いつもと違う彩芽の態度に、桜も真剣な表情に変わった。



少しぎこちなく桜も口を開く。




「で、でも私………」



「たしかに、今までにない感情に戸惑ったり、迷ったりすると思うの。



…でも、それでいいと思う。

無理に背伸びする必要はないわ。

恋愛感情なんて、一種の病気みたいなものなんだもの」



「びょ、病気…?」



「その人といると心臓が、それこそ爆発しそうなほどドキドキしたりしない?

あれってほんと困るのよね。

全く制御できないんだもの」




彩芽の言葉に、桜は小さく頷いた。



彩芽の言葉は実に的を射ていて、桜は恥ずかしそうに同意した。
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