危険な彼女
「桜ちゃんは、奈津といるとどんな気持ちになる?」




まっすぐに、桜の目を見て彩芽は問いかけてきた。



その言葉に、桜は奈津と一緒にいるときの自分を振り返ってみた。




殴る自分。


蹴る自分。


叩く自分。






………こうして振り返ってみると、何だか怒ってばかりな気がしてきた。




「…一緒にいると、むしゃくしゃする………」



「うんうん、いいことだわ」




予想外の言葉に、桜は口をぽかんとあけた。



そんな桜を見て、彩芽はクスリと笑った。




「恋愛なんてそんなものよ。

ましてや、桜ちゃんは多分、恋愛初心者でしょ?

言いようのない感情が自分の中を巡るのが普通だわ」



「で、でも!!

私、いっつも奈津に怒ってばかりで…!」



「それでいいの。

怒る原因だって、大方、他の女の子と一緒にいたのを見たとかでしょ?」



「それは………!」





違う、と否定できなかった。



現に、亜紀と楽しそうにしている奈津を見ているとイライラするし…、少し悲しくなってくる。
< 350 / 491 >

この作品をシェア

pagetop