危険な彼女
「………ごめん」




謝るしかなかった。



こんな話、やはりするべきではなかったのだ。



無理にでも沈黙を続けるべきだったのだ。



それなのに俺は………




「………そっ…かぁ………」




ふと、亜紀が納得したような声を出した。



声の調子はいつものようではなかったが、表情は決して苦しんでいるようには見えなかった。




「………なっちゃん」



「…………」



「私、いい機会だと思うんだ」




亜紀はそう言って、ニコッと笑った。




「クリスマスイブの夜、私、街のクリスマスツリーの前で待ってる」



「え………?」



「そこで………なっちゃんの返事を聞きたい………」




亜紀の言葉は、少し途切れ途切れだったが、表情だけは笑顔のままだった。



その表情に、何だか苦しい痛みを感じた。
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