危険な彼女
「なっちゃん、桜ちゃん、明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします」




律儀に年明けのあいさつをする亜紀。



奈津は少しぎこちない表情で頭を下げ返した。




実のところ、あのイブの日以来、亜紀には会っていなかった。



きまずい、とゆうのもあったが、正直どう接すればいいのかわからなかったのだ。




そのせいで、今も亜紀にかける言葉が見つからなくなってしまっていた。




「こら、なっちゃん」



「え?」




亜紀らしくない言葉である。



こら、だなんて亜紀が言ったことがあっただろうか。



いや、奈津の記憶上、そんなことは絶対になかった。




「ダメだよ、そんな顔しちゃあ。

女の子の前ではニコニコしてなきゃいけないんだよ?」



「え、あ………は、はい、すみません」




亜紀にこんな風に謝ったのも、奈津にとって初めての経験だった。
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