危険な彼女
「ありがと」




桜は犬の置物を大事そうに抱くと、嬉しそうに頬を緩ませた。



そんなに喜んでくれるとは思っていなかったので、奈津は戸惑った。




「わ、悪いな…

そんなのがプレゼントで………」




その言葉に、桜は再びクスッと笑った。




「馬鹿」



「え?」



「あんたが言ったんじゃない。

何をもらったか、じゃなくて、誰からもらったか、だって」



「………あ」




初めて桜と買い物に行ったときのことを思い出した。



そう、自分が言ったこと。



誰からもらったかが大事だって、俺は言った。




そんな前のことを覚えていてくれたことが純粋に嬉しかった。



だから、自然に奈津の表情は微笑んでいた。




「私は、あんたがくれたものならなんだって嬉しいの」




ニコッと笑う桜。



その笑顔があまりにかわいくて、奈津は恥ずかしくなって頭をかいた。
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