危険な彼女
「いやぁ、なぁんかいい感じなムードやなぁ」



「………そうね」




遠巻きに、春と美冬は二人の姿を見ていた。



春は面白いものを見る目でニヤニヤ笑い、美冬は安心したような笑みを見せた。




「なぁなぁ、前々から気になっとんたんやけどぉ」



「何?」



「お前って妙に奈津に絡む気がすんねんけど…何でや?」



「そんなの、あいつが危なっかしいから…」



「へぇ………

奈津が心配なんやなぁ…」




途端、美冬の顔が真っ赤になった。



それを見て、春は美冬の顔をのぞき込みながらニヤニヤ笑った。




「な、何が言いたいのよ…」



「つまりぃ、美冬は奈津んことがぁ、すっぐっ!!!?」




春が言い切る前に、美冬の見事なボディーブローがきまっていた。




「私が…何だって?」



「な、何でもない………」




春は、初めて他人に頭が上がらなくなった。
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