お菓子のこころ《詩集》
夕陽
1
滲んだオレンジを背負ったアナタが
ふわりと笑った 午後6時30分
世界はどこまでも孤独で幸福で
みんながみんな
同じお皿をつつきあって
口をあけて笑ってる
2
横断歩道の先
赤いランドセルを背負った女の子
真っ赤な顔した男の子
二人の手がきゅっと繋がっているのが見えて
こころがほっこり
あたたかくなった
3
黒猫がガードレールの下を歩いていた
首につけた鈴がちりんちりんと鳴って
私には泣き声に聞こえた
だけど目があえば毛を逆立てて
黒猫は ニャーと鳴く
4
雲がオレンジの海を泳いで
私の頭上をからすが追い越して
夏が眠って秋が燃えた
失っては生まれるこの世のふしぎ
繋いだてのひら
染み付いたぬくもり
かけがえのない
なんて一言であらわすのはどこか違うし
愛しいでも まだ足りない
名前を呼べばいつだって
あなたはふわりと
笑ってくれる
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