love letter~ヤンキーの彼氏~
もう、最悪な1日だ。


転校生の噂を聞いた他の生徒達が、廊下に群がる。


やはり、最初は女子のトロンとした、いくつもの甘い目。


今、腕を掴まれて歩いている私に嫉妬のような目もチラホラ感じた。


私の気持ちも知らないで……。



そんなモヤモヤとした気持ちの中、突然、転校生の足が止まった。


それと同時に、足早に去っていく女子達。


しかも、見てはいけないモノでも見たかのような表情で…。


何がなんだか分からない状況の中、私の右腕から転校生の手が離れた。


離れたというのに、まだ痛みが少し残ってるし。


左手で右腕を何度かさすっていると、転校生とは違う低音ボイスが前の方から聞こえてきた。


「お前、見た事ねぇ奴だな。二年か?」


嫌な声。聞き覚えがある嫌な声が聞こえてきた。


チラッと、その声のする前の方へと視線を向けた。


その瞬間、私の目はめいっぱい開き、背中に変な汗が流れ落ちる。


目の前に現れたのは、この高校のボス的存在の三年。


大木先輩だった。
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