love letter~ヤンキーの彼氏~
180センチの大柄な坊主頭の三年。


この学校だけじゃなく、この近辺の高校でも大木先輩を知らない人なんていない。


この人にケンカを売って、何人、いや何百人もの人間が病院にお世話になっている。


実際には見た事は無いけど、そんな噂を毎日聞いている。


「大木、ケンカは辞めとけよー後輩なんだからよ」


大柄な大木先輩の横に並んで立つ、中ボス的な二人。


そのうちの一人が、表情を変えずにボソッと呟いた。


「分かってるよ。カワイイ後輩に手を出しても仕方ねぇー。行くか」



大木先輩は、そう言葉を残すと私達の横を通り過ぎて行こうと歩き出した。


内心、私はホッと肩に入っていた力が抜けて、顔を下に下げようとした瞬間、



「オイ、お前ら!ちょっと待てよ」



それは、とても静かなモノで、聞き間違えたかと思うぐらい。


何もなく終わろうとしていたのに、転校生は振り返らないまま、そう、前を向いたまま、言葉を発した。


私の横を通り過ぎて行こうとしていた足音が、その声に反応して音を止めた。
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