love letter~ヤンキーの彼氏~
額にうっすらできる汗。ここまで走ってきたせいなのは言うまでもないか。


屋上の扉の前で、どれぐらい休んでいただろう。


数分すると、私の呼吸は普段の自分のモノへと戻ってきた。


曲げていた腰をピンと伸ばし、私の右手は扉のドアノブへと自然と伸びていく。


ドアノブに指が触れた時、私の頭の中に大樹の顔が一瞬よぎった。


タバコを吹かして、どこか寂しげで冷めた目をした大樹の顔が。


気づくと、触れていた指がドアノブから離れ、私に戸惑いを与える。


何やってんの?


何を期待してるの?

バカ。私のバカ。


もしかしたら、扉を開けると大樹が居るんじゃないのか?というありえない期待を抱いている自分を激しく責めた。


バカ。ホント、バカ。


何を意識してるのか分からない。


一度離したドアノブに視線をもう一度向けた。


扉を開くべきか。


それとも……。


考えているだけで胸が、少しずつ、少しずつ、チクっと疼き出して苦しくなっていた。
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