love letter~ヤンキーの彼氏~
ドアノブを見つめている私の口からは、幾つもの溜め息がこぼれていく。


もし、ホントに溜め息が幸せを表すのなら、幸せを逃しまくり、もうこの先は不幸しかないぐらいに。


「ダメ!ダメ!開ければいい…だけ…じゃん…」


とうとう、独り言まで出てしまう始末。


自分の中で何かしらの決意を決めて、もう一度ドアノブに手を伸ばそうとした時、


予鈴のチャイムが聞こえてきて、私の右手は反応するようにピタリと止まった。


それと同時に、私の決意もシャボン玉のように弾けて消えた。


間が悪い。と言ってしまえばそれまで。


早く教室に戻らないと、授業に遅れてしまうと焦る一方で、扉の向こう側が気になって仕方ない私。


ドアノブを握って、回して、開けて、外を見る。


数秒で終わる簡単な手順。小学生でもできる事が、今の私にはできない。


そんな自分に少し苛立つし、ムカつく。


「もう、どうでもいいやー」


意味不明に苛立つ自分が嫌になり、考えるって行為を私は捨てた。


勢いよくドアノブを回して、扉を押すように開けると、薄暗かった階段の方へと光が差し込んできた。
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