Thank you for...
由美ネェの視線の先にいた人物は、背が高く手入れの行き届いたオシャレなアゴ髭を持つ人物だった。

カウンターの内側で忙しく動き回るその人を見る美里は関心したように「ほぉ・・・」と溜め息をついていた。

「アキラー、炭火焼追加ねー!!」

まるで彼女の特権でもあるかのように、由美ネェは店長を名前で呼んだ。

「豚みたいになっても知らねーぞ」

宮崎独特のイントネーションで、アキラさんは笑って言う。

「豚になっても結婚してねー」

「うっせー、豚になったら養豚場にくれてやるよ」

「じゃ、養豚場で仲良く暮らしましょ」

カウンターとテーブル席の間で飛び交う会話。

何か、惚気にしか聞こえないね、と美里が笑う。

ホント、羨ましくなっちゃうね、と返しながら私は翔の事を考えていた。



今――

どこで何してる?



手元の携帯を横目で見ながら、心のモヤモヤは増すばかりだった。
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