Thank you for...
「酔っ払って動けない。外で座ってるから5分で来て」

「はぁ?無理な事言うなよ。20分はかかる」

「ダメ、5分で来なかったらこのまま道で寝ちゃう」

「バカ、危ねぇって!!行く、行くから!!」


ホント、真面目な奴だよね。

無理に決まってるのに。

彼女でもない、ただの女友達なのに…。

なんでそんなに優しいの?

昌斗にバレない様、鼻で笑う。

バカだなー、昌斗は。


「ウソ。大丈夫だよ。このまま飲みに戻るから」


目を瞑ったまま笑顔を作り、声を弾ませて言う。



本当は会いたい。

迎えに来て欲しい。

抱きしめて欲しい。

彼氏じゃないけど、

ただの男友達の一人にしか過ぎないんだけど

迎えに来て抱きしめて欲しかった。

ダメ、迎えに行くから待ってろ。

そんなセリフを期待していた。

でも―――


「あ、そ。じゃ楽しんで」


少し拗ねたような声。

短い言葉の後、バイバイの言葉もなく電話は――切れた。
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