Thank you for...
「もしもし――ミ・・・ト?

 ゴメン、電波悪いんだけど。

 てか、洒落になんないかも」


携帯から耳に届く声に、私は体を硬くした。

友晴だ――

翔が変な動きしたら電話するって・・・

出発前に美里が言っていた事を思い出す。

「てか、宮崎って電波悪いの?

 美里の声、あんまり拾えねーんだけど」

黙ってる私を、完全に美里と思い込んでるようだった。 


「翔さぁー、元カノと会ってんだよねー。

 でさぁ・・・元カノ、翔の胸で泣いてんのぉ

 リョウちゃんの事を打ち明けたのか、別れ話なのか。

 全然聞こえないんだけどー

 そのままタクシー乗られて追跡不能になっちった。

 何つーか・・・翔の事ワカンネー。
 
 リョウちゃんには言うなよ!酔って絶対言うなよ」


そう言って、友晴からの電話は

一方的に――

切れた。



 
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