Thank you for...
「リョ~、電話、何てー?」

無表情の私とは対照的なアルコールで上気した笑顔の美里。

私は、残った力で頬を緩め笑顔を作る。

「電波悪いみたいで全然分かんなかった。てか、誰からだったの?」

よくもまぁ、そんなデタラメを言えるもんだと自分に感心してしまう。

そんな私の心に気付かない美里は「アキラさんのせいだー」と電波状況が悪い店を責めた。

由美ネェとアキラさんが「うちじゃねーし」と笑って美里の額を小突く。

そんなやり取りを見ても、

私にはもう

笑う力が残っていなかった。



きっと

美里のキラキラの携帯に

私の元気を吸い取られてしまったんだ


グラスの滴で光るテーブルの上に置かれたそれは、

そう

きっと

周りのいろんなエネルギーを吸い取ってしまうんだ

魔法のキラキラ・・・・・・


そう思おうと、

耳に残った友晴の声を

必死で忘れようと心がもがく。
< 113 / 114 >

この作品をシェア

pagetop