Thank you for...
誤解
次の日の講義の休み時間、外に設けられた喫煙スペースでタバコを吸う美里を見つけ、私は少し小走りで歩み寄る。
「土曜はオツカレー」
笑顔で手を振る美里と、少し緊張した笑顔の私。
「何?何かあったの?」
すかさず私の不自然な笑顔に気付く美里。
他の子たちに慕われるだけあって、観察力はさすがだと思う。
「あのさ…」
遠慮がちのトーンで昨日の出来事を美里に話す。
この子には早いうちに話しておいたほうがいい、そう感じていたから。
そう思ったのは、友春と翔が美里の昔からの知り合いといった事があったからかも知れない。
話し終えるまで、美里は黙って聞いていてくれた。
そして不思議そう、というか、眉間にシワを寄せて
「あぁ…そう。うん…良かったね」
と呟いた。
何とも歯切れの悪い答え。
そりゃそうだ。
告白する方もする方だけど、OKする私も私だ。
軽い女って思われたかな?
チクリ、少し心が痛んだ。
ありえない方向へ歩み出した運命。
この時はまだ、笑っていられた。