Thank you for...

次の日もその次の日も、翔の反応はなかった。

教室で会っても学食で会っても以前と何も変わらない。

私…彼女なんだよね?

高校の頃とは全然違う付き合い方。

普通、付き合い始めって一緒にいるものじゃないの?

それで周りに「付き合ってんのー?」とか聞かれたりして。

で、一緒に帰ったりするのって…ガキの考え?

そんな不安を同時に「からかわれた…?」そんな嫌な予感が沸き起こる。

その不安はどんどん大きくなるばかりで、私はどうしても確かめずにはいられなかった。







「翔…ちょっといい?」


この一言を言うのにどれだけ唾を飲み込んだだろう。

講義が終わった直後の教室で勇気を出して声をかける。

翔はキョトンとした顔をして私を見ていた。

その表情で心がざわつく。

「なーに?」

「わ、私たちっ…つ、付き合ってるんだよね?」

周りに聞こえないよう小声で言う。

その小さな声が耳に届いたのか、翔は目を見開き、そして思い切り仰け反ると「えぇぇーっ!?」と大声で叫んだ。

あまりの声の大きさに、講義室に残っていた人たちが一斉に視線を私たちに向けた。

私は恥ずかしくなって、その場に隠れるようにしゃがみ込んだ。

翔は文字通り目を白黒させている。

明らかに、ひどく動揺している顔だった。

< 16 / 114 >

この作品をシェア

pagetop