Thank you for...
次の日もその次の日も、翔の反応はなかった。
教室で会っても学食で会っても以前と何も変わらない。
私…彼女なんだよね?
高校の頃とは全然違う付き合い方。
普通、付き合い始めって一緒にいるものじゃないの?
それで周りに「付き合ってんのー?」とか聞かれたりして。
で、一緒に帰ったりするのって…ガキの考え?
そんな不安を同時に「からかわれた…?」そんな嫌な予感が沸き起こる。
その不安はどんどん大きくなるばかりで、私はどうしても確かめずにはいられなかった。
「翔…ちょっといい?」
この一言を言うのにどれだけ唾を飲み込んだだろう。
講義が終わった直後の教室で勇気を出して声をかける。
翔はキョトンとした顔をして私を見ていた。
その表情で心がざわつく。
「なーに?」
「わ、私たちっ…つ、付き合ってるんだよね?」
周りに聞こえないよう小声で言う。
その小さな声が耳に届いたのか、翔は目を見開き、そして思い切り仰け反ると「えぇぇーっ!?」と大声で叫んだ。
あまりの声の大きさに、講義室に残っていた人たちが一斉に視線を私たちに向けた。
私は恥ずかしくなって、その場に隠れるようにしゃがみ込んだ。
翔は文字通り目を白黒させている。
明らかに、ひどく動揺している顔だった。