Thank you for...
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「ごめん、1回でいいから殺させて。
じゃないと俺の気がすまねぇ」
静まり返った教室に昌斗の声が響く。
震える手にカッターを握り締め
血走った目で私を見つめている。
周りに集まった友達は、何とか落ち着かせようと必死に昌斗を宥めていた。
「刺したいなら刺せばいいじゃん」
あんたに刺されても死ぬ気なんてしないけど。
「やめろって!リョウは黙ってろ!!」
狂ったような顔で叫ぶクラスメイト。
やれるもんならやってみろ。
そんな冷たい視線を私は昌斗に向ける。
カッターなんか出しちゃって。
男なら素手で殴るなりなんなりしてみろって感じ。
道具に頼るしか能のない、小さい男なのかね、あんたって。
昌斗の目を見つめたまま、
私はそんなテレパシーを飛ばしてみる。