Thank you for...
「てめー、何笑ってんだよー」

左肩に軽いパンチを受けながらも、私は笑いを止める事が出来ずにいた。

だって、クールなキャラの次元大介と、おちゃらけキャラの翔とはギャップがありすぎだから。

「似合ってなーい」

笑いすぎて涙目になった私の言葉を、翔は「何のこっちゃ?」と首を傾げて聞いていた。





「ねぇ、何でお前こんな所にいんの?」

落ち着きを取り戻した私に翔が聞く。

そんな質問を、私は空を見上げたまま「好きだからー」とだけ答えた。

「お前、最近毎日ここに来てるだろ」

「……!?」

「実習もないのに入って行くの見かけたから」

「ど、どこから?」

「学食からー」

放課後にみんなが溜まってる学食は、この棟入り口の斜め前にある。

他の生徒の出入りが多いから目に留まる事もないと思ってたのに。

しかもここは外から見えないはず。


「何かー悩んでんじゃね?」

視線を落とした私を覗き込むように翔が言った。

「……ううん、全然。悩みとかないし」

心配ないって、と翔の肩をバシバシ叩きながら笑う。

大丈夫だよーと満面の笑顔を作って。

でも次の瞬間…



「じゃ、何でそんなに泣きそうなんだよ」



そう発せられた翔の言葉に、私の体は凍りついた。

呼吸をするのも忘れる位の衝撃だった。




今―――


何て言った―――?
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