Thank you for...
もぉ、しつこいな。

講義が始まるまでにこれだけは読んでおきたかったのに。

私はムッとした気持ちを尖らせた唇にこめて顔を上げる。

相手も相当必死なようで、尋問でもしてるかのような表情で私を見ていた。

「今日は―――」

「今日、お前車で来てんのー?」

私の言葉にかぶせるようにして、声が頭の上から降って来た。

天井を見上げるような角度で顔を上げると、真後ろの席から身を乗り出している翔と目があった。

「あ、翔さん…」

俊は驚いたように目を見開くと「車ですけど」と小さな声で付け加えた。

「俺さっ、ちょっと乗っけてってもらいたい所があるんだよね」

「…えっ?」

「ボード。見に行きたくて」

ボードって何?

ホワイトボードとかコルクボードとか、そんな感じ?

ピンと来ない私は頭を左右にひねる。

「サーフィンの板ですか?」

正解を言い当てたのは、意外にも俊の方だった。

って言っても、私にはどっちみち答えられなかったんだけどね。
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