Thank you for...
私ね、俊のこういう所、好きだよ。

昌斗が昔そうしたように、いつも私を守ろうと全身で心配してくれる。

でもね、私はそんな優しさが嫌だった。

大丈夫?って気にかけるくせに、肝心の事は全く見えてなくて。

それってただの自己満足じゃん。

心の中で毒づきながらも、私は笑顔をキープし続ける。

心にもない感謝の意を込めて。


さて、戻ろっか…とお尻を叩きながら立ち上がる。

真っ直ぐに伸ばされた足の間を、初夏の風が優しく通り抜けていった。

「リョウ、遊んでないでカゴ持てー!」

店の中から叫ぶ翔の声。

それは、外で遊ぶ子供に台所から呼びかける母親の口調と似ていた。

お母さんが呼んでるから行かなきゃ。

そんな気持ちで店に足を向ける。

そこが――翔の隣が自分の居場所だったら――

そんな事を思いながら。

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