Thank you for...
「まーた、そんな顔して」

翔の声に、夢から冷めたようにハッと顔を上げる。

私は「大丈夫、平気だよ」と言うようにヒラヒラ手を振った。


「リョウ…。お前、今日、俺の為に俊をあおったろ?」

ビックリした。

正確には、息が止まるほど驚いた。

この人は読心術でもあるんじゃないかって思った。

何も答えない私をよそに翔は続ける。

「俺らの周りで車持ってるのって俊だけだからさ。アイツがサーフィン始めれば一緒に乗せてもらえるのにーって思ってて」

「……」

「そしたら、お前が煽ってくれた」

興味ないって言ってたのに、気ぃ使わせたな。

そう付け加えて、翔は笑った。

違うよ。

気を使ったんじゃない。

私が…私が一緒にいたいと思ったから…。

そう、喉まで上がってきたけど声にならない。

すっかり黙り込んでしまった私に翔は優しく尋ねた。

「リョウ、俊と付き合ってんの?」

私はブンブンと俯いたまま勢い良く頭を振った。

全力での否定だった。

「あ、そうなんだ。まぁ彼氏なんていらなーいって言ってたもんな」

ズキン・・・

自分で言ったセリフなのに抉る様に胸に刺さった。




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