Thank you for...
くだらない。

本当、くだらない。

たかがこれくらいの事で、彼氏に刺すだの殺すだの言われなきゃなんないの?

ハッキリ言って、

日常全てがもうどうでもよかった。


机に頬杖を付いたまま、私は目の前の光景をテレビでも見るかのようにぼんやり眺めていた。



昌斗の背後から羽交い絞めする奴。

手に握り締められたカッターを奪う奴。

「落ち着け!」と叫び声が飛び交う教室で、

私は“傍観者”だった。


騒然とした教室に、騒ぎを聞きつけた担任が駆け込んできた。

一通り教室内を見回すと、私に視線を合わせため息を付く。


「リョウ、ちょっと」


俯き加減で私に向かって「おいでおいで」を手招きする。

何で私が呼ばれなきゃいけないのよ。

刃物振り回してた張本人はいいわけ?

そんな事を心の中でボヤキながら、私は担任に促されるまま後について行く。




「リョウ…あまり昌斗を刺激せんどったってくれ」


新校舎の2階。

職員室前に作られたベンチスペースに私は座った。

その横で嗜めるように担任が語りかける。


「お前は、推薦で大学が決まったから暇かもしれんけどなぁ…今はあいつ等の頑張り時って事は分るやろ?」

今は11月。

年明けのセンター試験に向けて、みんなピリピリしていた。
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