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第3章 パンドラの箱
あれから、私たちは大学でサーフィン愛好会を立ち上げた。
美里も誘って、気が付けば20人以上の大きな愛好家たちのグループになった。
実際は、それぞれの実習や授業の関係で5~6人で動いていたのだけど。
大学から2時間圏内の海に、波の情報をチェックして向かう。
その荷物番と、帰ってからの翔のサーフィンの道具やタオルなどの洗濯は私の日課になりつつあった。
「髪、痛んだね」
照りつける太陽と海の塩によって、翔の髪はパサパサだった。
そっと伸ばした指先に触れた髪は、潤いをなくし干草のように荒れ果てていた。
「トリートメント、してる?」
手に触れた毛先を見つめながら呟くと、そんな女みたいな事するかよ、と素っ気ない返事が返ってきた。
「はげても知らないよ」
連日の海通いに疲れたのか、翔は床に転がったまま動かない。
そんな翔に、冗談めかした言葉を言えるようになったのは最近になってだ。
付き合うわけでもなく、互いの心を打ち明ける訳でもなく、まるで兄妹のようにそばにいる。
友達以上、恋人未満といったとこか。
それでも以前に比べて、関係は格段に進歩していると思う。
相変わらず上辺でしか会話が出来ない生活だけど、翔の前ではだいぶん素直に言葉を吐き出せるようになったから。
あれ以来、ガキだなんだと説教される事はあっても、自分を責める事も格段に減っていた。
「ハゲ…怖いな」
足元から発せられた声に、私は何か言った?と返す。
「オヤジ、結構きてるからな…俺も遺伝するかも」
「今のままじゃ、遺伝じゃなくてもやばいよ」
ただでさえカラーリングで痛んでるんだから、そう言って見下ろした。
「リョウ、買ってきて」
「何で私が行くのよ。洗濯しなきゃいけないから忙しいんだけど」
「じゃ、一緒に行こうぜー」
まるで駄々っ子のように床に転がりながらジーンズの裾を引っ張る。
はぁ…仕方ないなぁ。
袋から出したタオルを洗濯機に放り込み、大げさに溜め息をつきながら寝ている翔を引き起こした。
美里も誘って、気が付けば20人以上の大きな愛好家たちのグループになった。
実際は、それぞれの実習や授業の関係で5~6人で動いていたのだけど。
大学から2時間圏内の海に、波の情報をチェックして向かう。
その荷物番と、帰ってからの翔のサーフィンの道具やタオルなどの洗濯は私の日課になりつつあった。
「髪、痛んだね」
照りつける太陽と海の塩によって、翔の髪はパサパサだった。
そっと伸ばした指先に触れた髪は、潤いをなくし干草のように荒れ果てていた。
「トリートメント、してる?」
手に触れた毛先を見つめながら呟くと、そんな女みたいな事するかよ、と素っ気ない返事が返ってきた。
「はげても知らないよ」
連日の海通いに疲れたのか、翔は床に転がったまま動かない。
そんな翔に、冗談めかした言葉を言えるようになったのは最近になってだ。
付き合うわけでもなく、互いの心を打ち明ける訳でもなく、まるで兄妹のようにそばにいる。
友達以上、恋人未満といったとこか。
それでも以前に比べて、関係は格段に進歩していると思う。
相変わらず上辺でしか会話が出来ない生活だけど、翔の前ではだいぶん素直に言葉を吐き出せるようになったから。
あれ以来、ガキだなんだと説教される事はあっても、自分を責める事も格段に減っていた。
「ハゲ…怖いな」
足元から発せられた声に、私は何か言った?と返す。
「オヤジ、結構きてるからな…俺も遺伝するかも」
「今のままじゃ、遺伝じゃなくてもやばいよ」
ただでさえカラーリングで痛んでるんだから、そう言って見下ろした。
「リョウ、買ってきて」
「何で私が行くのよ。洗濯しなきゃいけないから忙しいんだけど」
「じゃ、一緒に行こうぜー」
まるで駄々っ子のように床に転がりながらジーンズの裾を引っ張る。
はぁ…仕方ないなぁ。
袋から出したタオルを洗濯機に放り込み、大げさに溜め息をつきながら寝ている翔を引き起こした。