Thank you for...
「…ま、まって――」

やっとの事で絞り出した声。

お湯のせいなのか胸を伝う手の平のせいなのか、のぼせるほど体が熱かった。

「何で――」

「ダメ…だよ……」

「何で――?」

翔の指が、胸から背中に伝い、グッと抱き寄せられる。

私たちの体は、浴槽のなかでピッタリとくっつく形になった。

翔の息が耳にかかる。

「いい…じゃんね」

そんな溜め息にも似た呟きのあと、唇が首筋から鎖骨へと優しく移動を始めた。

もう、どうでもよかった。

理性なんて、どこかへ飛んでしまっていた。

自分の欲求に従うだけ。

欲しい。

翔に抱かれたい。

それだけだった。
< 46 / 114 >

この作品をシェア

pagetop