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翔のアパートに帰ってからも、美里の言葉が胸に引っかかっていた。

はっきりしない、奥歯に物が挟まったような、そんな美里の口調や表情が頭を駆け巡る。


『――ちゃんと翔と話ししなきゃダメよ』


美里の言葉の意味を考えれば考えるほど、胸の奥が重たくなるようだった。

5歳という年の差が、急に怖く感じた。

もしかしたら、本当に都合のいい女になってるのか、利用されてるのかって。


「翔…」

「――なに?」

海外のサーフィン雑誌を読む手を止め、翔が顔をあげる。

「思ったんだけどさ…私たち…付き合ってんだっけ?」

過去のイタ電事件の時を思い出し、声が震えた。

でも、この前みたいに自惚れてはいない。

否定されても流せる自信があった。

「…どうだろ?」

いつものオチャラけた表情を作り、翔が答える。

「…私って…何なのかなって…思ってさ」

急にどうしたんだよー、とおどける翔。

でもすぐに真面目な顔に戻って、手元の雑誌を閉じた。

「リョウ…おいで」

まるで子供を宥めるような口調で私を呼び寄せる。

私は素直にそれに従って、あぐらをかいた翔の前に座った。

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