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土産の袋の中身は、ハワイ限定のナイロンポーチ。

有名な雑貨ブランドの物と分ると、私は全身の毛穴が一気に開くほど驚いた。

こんな高そうな物もらえないと焦る私に、美里は「50ドルしないから」とヒラヒラ手を振ってみせた。

「化粧品入れてもいいし、タバコとか小物を入れてもいいし」

私も色違い買っちゃった、とはしゃぎながら美里が笑う。

「色、それで良かった?」と首をかしげながら尋ねる美里に「うん、ありがとう」と言葉を返す。

本当にいいのかな…と恐縮する自分と、跳ね回りたいくらい喜んでる自分。

私はもう一度「ありがとう」と言うと、喜びを素直に笑顔に代えて伝える。

そんな私の顔を見て、美里も満足そうに笑った。




「それにしても、前の彼女はどうなったの?」

クリスマスのケンカの話は、翔から友春、友春から美里、とすごい速さで回っていた。

海外に行っていたのに、まるで国境を越えた緊急連絡網でもあったかのような速さだった。

「相変わらず早いね、情報」

「海外でも携帯使えたしね」

「メール?」

「いや、電話」

キラキラのデコ電を美里は愛おしく撫でながら、口の端だけ器用に上げて笑った。

「元カノの話は全然してない。連絡は取ってないって言ってたけど、それは嘘ってわかってるよ」

カバンの中からメンソールのタバコを取り出し、ライターで火をつける。

喫煙席を、とお願いしたカフェの片隅で、私は寒そうに歩く外の人間を見つめながら煙をフーっと細く吹きだした。

「嘘って…分ってる?」

美里は理解できないと言った風に目を丸くして私を見た。

連絡取ってないなんて嘘。

この前届いたマユコからのクリスマスプレゼント。

捨てた香水は、次の日になって見に行ったら瓶は粉々に割れて道路に変な染みを作っていた。

そしてもう一つのプレゼント。

タバコのカートン包装のもの。

翔に抱かれた後、安心して眠りについた翔の横をすり抜けて私はキッチンへ向かった。

喉がひどく渇いていたから。

そして、裸のままの私の目に、床に転がったタバコが飛び込んできたのだ。
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