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【Marboro LIGHTS】

デカデカと、自慢げに書かれたタバコの名称。

初めは普通に眺めていた。

いつも翔が吸っているものだったから。

その箱を足先でコツンと蹴飛ばしてコタツに入り、自分のタバコに火をつけた。

薄暗い明かりの中、口元に咥えられたタバコの先が赤く色付く。

…。

……。

おかしくない?

吐き出した煙を見つめながら、一つの疑問が頭に浮かんだ。

私は慌てて、蹴飛ばして跳んで行った箱を目で探す。

【LIGHTS】

その文字を、私は食い入るように見つめた。

…やっぱり。

会ってないなんて、嘘。

だって。

最近、体に良くないからってタバコの銘柄を変えたばかりだったから。

ニコチンもタールも、かなりキツイ煙草を吸っていた翔。

煙草の本数を減らせないから、それなら軽い煙草にしようと今の物に変えた。

それは、本当にごく最近の出来事で。

なのに送られてきた銘柄は、ちゃんと今の物。

会ってないなら、煙草の銘柄が変わったなんて知るわけないでしょ?

いちいち「今、何の銘柄吸ってるの?」なんて聞く事もないだろうし。

…うそつき。

私はそう呟き、箱を拾いあげると、そのままゴミ袋へねじ込んだ。

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