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ティファニー

いつの間にか、私たちは新しい学年になっていた。

実習や研究、試験に追われる毎日。

翔とも以前と変わらず仲良く過ごしている。

前の彼女の話は相変わらずしないし聞かない。

今が楽しければ、それだけで充分だから。




まだ、肌寒さが残る4月。

バーベキューがしたい!という翔の一声に、学校のサーフィン仲間達が海に集まる。

砂浜に置かれたバーベキューコンロを囲むように、4WDの車が3台並んだ。

大学生なのに、大きな車に乗ってるなんて、親のすねかじりもいいところよねと、新しく出来た俊の彼女が私の隣で毒づく。

肉だ野菜だ焼きそばだ、と食い気に走る奴。

自前の焼酎をラッパ飲みして踊り狂う奴。

誰かが持ってきたラジカセから、流行の洋楽がうるさい位鳴り響いていた。


私と美里は、呆れ半分でそれらを眺めながら缶ビールのプルタブをあけ乾杯する。

「翔は?」

美里の問いかけに辺りを見回した。

さっきまで張り切って肉を焼いていた翔の姿が見えない。

「海に沈んでんじゃん?」

どうせトイレにでも行ってるのだろうと思いながら、私はおどけて答えた。

「いやいや、シャレになんないから…」

私の肩を軽く叩きながらも美里は笑顔だ。

その内、帰って来るよ。

言いだしっぺだし。

ビールと焼きそばでお腹がパンパンになった時には、辺りは真っ暗な闇に包まれていた。

私たちを囲んだ車が一斉にライトを付ける。

暗闇の中、私たちは明かりの輪の中で騒ぎ遊んだ。

眩しすぎるほどの明るさに、世界中で生きてるのは私たちだけなんじゃないかって錯覚を覚える。

明るさは暗闇をより暗くし、暗闇は明るさをさらに明るいものと変えていた。




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