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ホント、ここ数ヶ月の間で笑ったり泣いたりが激しかったなと思う。

心が穏やかだった日は、連続して何日間位あったんだろう?

取り乱したり、泣いたり叫んだり。

感動したり、喜んだり笑ったり。

これが『恋愛』『人を好きになる』ってプロセスの一部なのかしら、なんて思いふけってみたりして。

結構、一人の人を愛するってのは忍耐と努力が必要なんだわーって悟りかけてたんだけど。

どんだけ辛くても不思議と「別れる」って思う事はなくて。

ホント、人を好きになるって忙しい。



「リョウ、ここの数値が合わないんだけど」

頬杖をついた私は、美里の声で我に返る。

上の空の私をよそに、美里はもうレポートの大半を書き上げていた。

「え、もうそこまで書いたの!?」

目をパチパチしながら綺麗に書かれたレポートの文字に思わず見入ってしまう。

「まさか、まだ書いてないの?」

「…まだ、3行しか進んでないよ」

「書きなさい」

「美里ぉ…見せて」

「ダメ。結果の数値が一人一人違うんだから!自分で書きなっ!」

甘える事も許されない、厳しい言葉。

確かに、うつして書けるレポートならわざわざファミレスじゃなくてもいいんだけどね。

二日間かけて、化学反応の実験を行っている。

それぞれ、バラバラに配られた薬品Xの正体を、暴いていくものなんだけど。

これが、誰に何を割り振ってあるのか分からないからタチが悪い。

皆、白い粉だし。

だから、こうやって美里と二人で書いてても、同じ薬品なのかは分からないから意味がないと言えば意味がないんだけどね。

もし一緒だったら、明日以降の実験の方法もレポートも楽にできるのになぁ…。
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