Thank you for...
「翔、来週の連休に美里と旅行行く事になったよ」

「へー、どこに?」

「宮崎」

「宮崎!?また遠いな」

「チキン南蛮食べたいんだって」

「へー、アイツらしいじゃん」

「翔は海に行くの?」

「あぁ…適当に遊んでるし、親…来るかもだからな」

「お母さん?」

「……いや、妹」

「一人で?」

「…ま、いいじゃん」

開きかけた唇を、翔の唇でふさがれる。

都合の悪いときはいつもそう。

『親』って言ったのに、『妹』にすり替わってる。

怪しい。

でも、ベットの中ではそんな事、どうでもよくなってしまう。

私の悪いクセ?

いや、自衛本能。

抱かれてる間だけは、余計な事は考えたくない。

次第に朦朧としていく意識の中、翔に必死にしがみ付く事で自分の心の蓋を開けないようともがき続ける。








本質を知る為には、多少の事件や出来事が必要なんだよね、美里?


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