幸せのロウソク
―お売りしたキャンドルですが、開花しましたか?―
青年に聞かれ、ふと何日か前のことを思い出した。
確かにあのキャンドルは蕾から花開いた。
そのことを伝えると、青年は安堵した笑みを浮かべた。
―良かった。ならばあなたに幸せは訪れたんですね―
この問いには笑顔で答えた。
結局、キャンドルは買えなかったが、青年との会話で心が満ちた。
彼はあのキャンドルで自分が幸せになることを心から望み、喜んでくれている。
そのことが分かっただけでも来たかいがあった。
イヤな気分はすっかり消え去り、家に帰った。
だがその夜、キャンドルをつけて夢見た内容は、担任が車にひかれて亡くなる夢だった。
恐ろしい夢、悪夢のはずなのに、顔は笑ってしまった。
次の日の朝。
キャンドルがいよいよ残り少なくなっていることに気付いた。
良い夢を見ているほど、長くキャンドルをつけてしまう。
特にここのところは、自分の思い描く通りの夢が見られるせいか、キャンドルは急速に量を減らしていった。
もはや花の形はなく、あと一回火を付ければ終わりだろう。
最後はどんな夢を見ようかと、楽しく考えながら学校へ行った。
…だが。
青年に聞かれ、ふと何日か前のことを思い出した。
確かにあのキャンドルは蕾から花開いた。
そのことを伝えると、青年は安堵した笑みを浮かべた。
―良かった。ならばあなたに幸せは訪れたんですね―
この問いには笑顔で答えた。
結局、キャンドルは買えなかったが、青年との会話で心が満ちた。
彼はあのキャンドルで自分が幸せになることを心から望み、喜んでくれている。
そのことが分かっただけでも来たかいがあった。
イヤな気分はすっかり消え去り、家に帰った。
だがその夜、キャンドルをつけて夢見た内容は、担任が車にひかれて亡くなる夢だった。
恐ろしい夢、悪夢のはずなのに、顔は笑ってしまった。
次の日の朝。
キャンドルがいよいよ残り少なくなっていることに気付いた。
良い夢を見ているほど、長くキャンドルをつけてしまう。
特にここのところは、自分の思い描く通りの夢が見られるせいか、キャンドルは急速に量を減らしていった。
もはや花の形はなく、あと一回火を付ければ終わりだろう。
最後はどんな夢を見ようかと、楽しく考えながら学校へ行った。
…だが。