愛唄


「来てくれてありがとう。実はずっと待ってた」


そう言った柚縷ちゃんの言葉に、優奈が顔を上げた。


「優奈ちゃんならすぐに駆けつけてバカにして笑ってくれると思ってたのに、いつまで経っても来ないから心配してた」

「笑えるわけねーじゃん!……笑えるわけないよ。幼なじみなんだよ?あおと、ゆぅと、あたし。ずっと一緒にいたんだから……」


あたしの場合、柚縷ちゃんの近くにずっといるってことが出来なかった。

だから、あの文化祭の日に初めて知って、ショックを受けた。

手紙のこともあって、事故のショックは直接会った時に一気に来たけど……。


優奈の場合は、直接人伝に聞いただろうから、ショックがあたしより大きかったと思う。

本当にいきなりだっただろうから、信じられなかったと思う。


――信じたくなかっただろうと思う。
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