愛唄
那加くんは花音の後ろの席に座るとすぐに話しかけていた。
「もしかして、苗字一緒?」
「そう。冴霧花音、よろしく」
「よろしくね」
双子の転校生ってのが珍しくて、なんだか話かけたくなった。
後で花音のところに行った時にまた話してみよう。
HRが終わって体育館に向かう時、いつものように花音のところに行った。
「花音、苗字一緒だったね。ビックリした」
「こっちの方がびっくりよ。いきなり注目浴びるし」
「あ、さっきの子?」
あ、那加くん覚えててくれてたんだ?
「花垣葵です。よろしくね」
「よろしく」
「あ、あの、朝いた子と……もしかして双子だったりする……かな?」
「そうだよ」
那加くんはにっこり笑って答えてくれた。