愛唄
ヤバい、この子天然かもしれない。
たぶん分かってないかも、怒ってるって。
あたしは内心ハラハラドキドキでいた。
「ほら翼、始業式行くよ。葵も、那加も」
あ、やっぱり最初から名前呼び捨てなんだね、花音。
あたしの時もだったなぁ、懐かしい。
あれからもう一年がたったんだ。
長いようですごく早く感じた。
あの手紙の相手を知るまで、あたしの知らないところの変化が進んでて、あたしの知らなかった過去から今までも知ることができた。
今思うと、運命みたいだったね。
「翼」
「なに?」
「大好き」
そっと繋いだ手のひら。
春の風を受けて、再び春がめぐってきました。