願った日々
しばらくたって俺は目を覚ました。

まだ頭がぼんやりしている。そっと目を開けると
目の前に薄い青に染まったショートヘアーが見え、
その分け目から妹の雫(しずく)の目が覗いた。

「お兄ちゃん大丈夫?」雫が心配そうに言った。

「ああ、なんとかな・・・」

雫は俺と年が1つしか離れていない、つまり年子の妹だ。

兄である俺が言うのもなんだが容姿端麗で頭もよく
スポーツ万能だ。しかし1つだけ悪いところがある。それは、
15にもなって強いブラコン(ブラザーコンプレックス)
であるところだ。
ついこの間だって俺が買おうとしていた服は
格好悪いだの何だのと言って勝手に俺の服を選んで買ったりする。

飯を食うときだってまるで恋人のように食べさせようとする。

おかげで昔から周りからは兄妹ではなく恋人だと間違えられる。

そのせいで俺は高校1年にもなって彼女がいない。

こういった所がなければいい妹なのだが。

「おっ洸、起きたのか。」雪ねえが台所からビール片手に
出てきた雪ねえの姿を見て呆れた。

「おい!ちょっとまて!何でそんな格好しているんだよ!」
雪ねえはバスタオルで体を巻いていた。風呂に入っていた
らしく髪がぬれていた。

「風呂に入っていたに決まっているだろう、馬鹿が、
それともなんだ、私の風呂上りを見て一丁前に恥ずかし
がっているのか?なんならもっと見るか?えっ、えっ。」

「誰が見るか!!さっさと服着ろ!!」

雪ねえが俺をからかうのを見て例のごとく雫が怒った。

「お姉ちゃん!二十歳にもなってそんな格好をしないの!」
さすがの雪ねえも雫に言われて少し反省したみたいだ。

「あ、お兄ちゃん。将人(まさと)さんを起こしてきて。
そろそろ朝ごはんにするから。たぶんまだ寝ていると思うよ。」

将人は俺の家で一緒に暮らしている俺の親友で幼馴染の高村将人
(たかむらまさと)だ。

俺の親は俺が2つの時に母親が亡くなって、父親は今海外に
単身赴任中だ。まったく海外で何をしているのだか・・・

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