願った日々
1年生の勧誘が一通り終わると俺はあることに気付いた。

「あっ、そうだ例の冬月中の双子、勧誘するの忘れてた。」

「なにぃ~、どうするんだよ洸!!」

「俺が何とかするさ・・・たぶん。」

「任せたからな!!」

そう言って先輩や将人たちは先に帰った。

「・・・とは言ったものの、どうしよう・・・」

俺はしぶしぶ教室に戻りカバンを持って家に帰ろうとした。

俺は帰る途中隣の1年クラスをのぞいたが、みんな下校して
いて誰もいなかった。

(よかった。雫はもう帰ったか。)

俺はかなりホッとした。登下校共に雫と一緒では俺は死ぬな。
そんなことを思いつつ俺は学校を出た。

(しっかし夕方の学校は暗いな・・・・・怖い。)

学校を出てしばらく歩くと後ろから女の子の声が聞こえてきた。

「まって~、私のバック返してよ~。」

女の子はカバンをくわえている犬を追いかけていた。

(ウチの学校の生徒だ・・・)

俺がそう思っていると犬が俺の方に走ってきた。

犬は俺をどかそうとカバンをくわえたまま飛びついてきた。

突然のことに驚いた俺はその犬に思いっきり
蹴りを入れてしまった。

犬は俺の蹴りをモロに腹にくらい、近くにあったコンクリート
の壁に叩き付けられその下にあったゴミ箱に見事に入った。

(犬だけにホールインワン!なんちゃって・・・【自己嫌悪】)

「うわ~、やっちゃったよ。大丈夫か犬コロ?」

そうやって近づくと犬は「キャイン、キャイン」と吠えて
どこかへ行ってしまった。

そして俺は犬の落としていった女の子のカバンを取って、
女の子に返した。

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