願った日々
「ただいま~。」

「おっかえり~!!!」

玄関に入ると雫が出てきた。

「おう、ずいぶん遅かったな、何かあったのか?」

俺が帰るのが遅かったせいか、みんな心配していた。

今日も紗枝がいる。将人が呼んだらしい。

「ん、いやただ犬に襲われただけだが・・・」

「!!大丈夫だったの?」

「つ~か、女の子がカバンを犬に盗られて、たまたま
近くにいた俺にその犬が飛びついてきただけで・・・」

「なんだそりゃ。」

「怪我はない?」

「飛びつかれた時に思わず蹴りいれたら逃げていったから
怪我はいないよ。」

「ふっ、甘いな。私なら襲ってきたら犬だろうが人間だろうが
ただでは帰さないな。地獄いきだな、地獄行き。」

雪ねえが恐ろしいことをつぶやく。

「よかった~、あっそうだお兄ちゃんにお客さんだよ。」

そう言われて洸は部屋の中を見た。

「おっ、沖田じゃないか。」

「やあ、洸。久しぶりだね、元気だったかい?」

こいつは沖田聡司(おきたさとし)、俺達と同じ剣道部で
去年は将人と1年生ながら先鋒、次鋒で名コンビを組んでいた。

ちなみに聡司も俺の家の近くに住んでいる。

髪は綺麗な黒で肩まで伸ばしている。ミミ先輩のように、
触覚が2本飛び出している。実はミミ先輩の従姉弟である。

また、俺達の幼馴染で悪餓鬼トリオと呼ばれていた。

ただ、生まれつき体の弱い沖田は風邪をこじらせて肺炎になりそこなって
春休み後半から入院していた。

ちなみに沖田も同じクラスになっていた。
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