願った日々
「へへへへ、私はストロベリー!お兄ちゃんは?」

「ん・・・おれはチョコチップでいいや。」

「は~い。」雫はそう言って俺の分までアイスを買いに行った。

「ふ~。」俺は雫のいないこのわずかな時間をゆっくりと
したかった。しかし世の中そんなに甘くなかった。

「うわ~ん。」雫がいなくなってすぐにどこかで
子供が泣き出した。

「ん・・・なんだ・・・?」俺は周りを見回した。

するとよくある光景だが小さな子供が風船を飛ばされたらしい。

その飛ばされた風船は運良く屋上にあった木に
引っかかっていた。

俺は立ち上がってその木の下に行った。俺も子供のころに
同じことがあり泣いていたことがあった。

だから男の子がかわいそうで取ってあげることにした。

風船の紐は意外と高いところにあった。

俺の身長は168cmなのだが、(せめて70はありたかった・・・)

しかし、俺がジャンプすればゆうに届くので、引っかかった
風船を取ってやった。

「ほら、泣くな。」俺は風船を取ってその子に渡した。

「あっ、ありがとう、お兄ちゃん。」男の子は泣き止んで
にっこり笑った。

こうゆうことをしてお礼を言われると気分がいい。

すると近くにいたその子の母親が、

「あの、どうもすいません。あっ、お礼に何か・・・。」

男の子の母親がそう言うと、雫が向こうの方で
俺を探しているのに気が付いた。

「やばっ、あっ、別に気にしないでください。俺が好きで
やった事ですから。それじゃ、失礼します。」

俺はそう言い残して雫のいる所に走っていった。

「もう、お兄ちゃん、どこに行っていたのよ?」

「ごめん、ごめん。ちょっとあってさ。」

「まったくもう、はい、アイス。」

「おお、サンキュー。」俺と雫は近くのベンチに
座ってアイスを食べた。
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