世界で一番嫌いな君へ
「せんぱ―・・・」
がらがらと突然響いたドアの開閉音と第三者の登場に、勢いよく視線を移す。
二人に見つめられた少年は、私を先輩を交互見て驚いたように言葉を止めた。
不思議に思って先輩を見てみたけど、先輩も同じように私を見ている。
「どうした?」
「あー・・・あの、流石に遅いかなって」
「ああ、悪いな。手間取って」
「俺も手伝いますよ」
私も先輩も、何も話さない。
その空気を感じ取ったのか、男の子も何も話さない。
この頃になって、やっと自分の愚かさに気が付く馬鹿な私。
なんで、言っちゃうの。
しかもあんなタイミングで。
悔やんだ所で出てくるのは溜息だけだった。