世界で一番嫌いな君へ

結局最後まで気まずい空気のまま、やけに綺麗な部屋が空しい。


「おつかれさまでした!」


あまりの居心地の悪さに、挨拶も言い終わらぬうちに脱兎の如く逃げ出す私。

2人の驚いた表情と何とも言えない空気が、思い出したくもないのに頭に浮かんで泣きたくなる。

あーもう、明日は腫れた目で登校する事になりそう。

校門を出て坂道を駆け上がり交差点の赤信号に立ち止まると、誰かが私の腕を掴んだ。


「ひゃっ」

「つぐみ」


馬鹿で愚かな私は、心の底で少しだけ

ほんの少しだけ、期待してしまう。

だから相手の顔を確認した時、ある意味腕を掴まれた時より驚いた。

先輩かと思った手の主は、さっきの男の子だったから。


< 13 / 16 >

この作品をシェア

pagetop