世界で一番嫌いな君へ
結局最後まで気まずい空気のまま、やけに綺麗な部屋が空しい。
「おつかれさまでした!」
あまりの居心地の悪さに、挨拶も言い終わらぬうちに脱兎の如く逃げ出す私。
2人の驚いた表情と何とも言えない空気が、思い出したくもないのに頭に浮かんで泣きたくなる。
あーもう、明日は腫れた目で登校する事になりそう。
校門を出て坂道を駆け上がり交差点の赤信号に立ち止まると、誰かが私の腕を掴んだ。
「ひゃっ」
「つぐみ」
馬鹿で愚かな私は、心の底で少しだけ
ほんの少しだけ、期待してしまう。
だから相手の顔を確認した時、ある意味腕を掴まれた時より驚いた。
先輩かと思った手の主は、さっきの男の子だったから。